• アニメーター兼油絵家

    描きたい順位を知る

     

    素描は短時間で

    必要な情報を取り出す作業

     

    写真制作に慣れていると時間の観念がなく気楽に描くことが出来ます
    しかしぱっと見た時の印象を絵にする力はなかなか養われません
    写真をそのまま写すと不必要な情報も描いてしまい描き手の気持ちが反映されません

    絵としては上手く見えますが作者の気持ちは分かりにくくなります

    19歳の頃に描いた松田聖子

    当時は上手く描けたと思っていました

    今見ると何も面白くないですね

    写真集を超える物が絵に出ていれば

    まだ面白いのですが

     

    デッサン会の場合

     

    実際に人物デッサンする時間が限られその中で

    自分の感じたことを絵にしていかなければいけません

    1番大事な要素は何なのか二番目は?

    という感じに

    順位をつけないと

    すぐ

    時間切れがやってきます

    20分ポーズ

     

    松田の場合

    一番に女体の形

    二番に陰影

     

     

    という気持ちでのぞみました

    実際には顔を描きたい気持ちが強くなり

    細かい陰影は間に合わなくなりました

     

    顔の部分は

    時間がかかります

     

     

    同じく

    一番に女体の形

    二番に陰影

     

     

     

    一番に女体の形

    二番に陰影

     

    変わらず

     

     

    20分あるとそれなりに形はとれて陰影もざっと付けることができます

     

     

    陰影だいぶ意識

     

    でも10分 5分と短くなってくるとそうはいかなくなります

     

    5分ポーズだとあれこれ

    形を直す時間もありません

    鉛筆の動かすスピードも速くなります

     

     

    陰影間に合いませんでした

     

     

    手の形や足の形間に合いません

    このときに雰囲気だけでも描けたらと思います

     

     

    30秒ポーズ

    になるとほとんど描くのは間に合いません

     

    この経験を踏まえることで描きたいものがなんなのか

     

    最低限描きたいものを

     

    考えるいい練習になります

    そのことをきちっと踏まえて短い時間のクロッキーにのぞまないと

    ただ単に描けないジレンマに陥るだけです

     

    時間が短くても描きたいことを

    明確にしておくことで

     

    そのことに集中出来ます

     

     

     

    顔だけ描きたいのならアップで描けばいいのです

    クロッキーはいつも全身描かなければいけないわけではありません

     

     

     

     

    20分ポーズの人物画の時モデルさんは微塵も動かないわけではなく

    刻一刻と少しずつ変化していきます

    特に着衣の場合はシワも二度と同じになることはありません

    一気に描く必要があります

     

     

    モデルさんの

    休憩時間も練習を

     

    一瞬を捉えるいい練習になります

    すぐ動かれてしまいますが

    これも休憩時間

     

     

    短い素描の意義

    まずは細かい形にとらわれず全体の大きい動きをとらえます

    この大きい動きは最後まで印象が残ります

    最初のとらえることが

    1番大事ということになります

    クロッキーデッサンでは時間が短い設定をすることがあります

    30秒デッサンとか普通に描こうと思ったら何も描けないうちに終わってしまいます

    でもこれは

     

    1番大事な情報だけを取り出す

    訓練なのです

     

    一番大事な情報とは?

    それは描き手の気持ちです

    絵は気持ちを表現するものだと思います

    記録ではありません

     

     

     

    それを教わらずに30秒クロッキーを始めても時間がなさすぎて描けないと感じるだけです

    なぜ短いクロッキーをやるのかしっかりと理由を聞いてから

    またわかっている方はしっかりと自覚してのぞむ必要があります

     

     

    最近の絵描きの先生は写真制作をする方が多くなりました
    いや昔からいましたがリアルブームの影響か注目されるようになりました
    そのため習う生徒も写真制作をします
    素描をやる機会がありません
    それをやらないと全体を見る力がつかず大きい動きが読み取れない
    人物デッサンの形の狂いが目立ちいつまでたってもキチッとした人物画が描けない
    堅っ苦しい絵になりがちです

    機会がありましたら素描の練習をどんどんしましょう

    もちろん自分にも言い聞かせています

     

    作品制作に役立ちます

    素描経験は作品制作に役立つと思います

    油彩制作では長時間モデルさんにポーズをお願いしますので

    時間切れというのはなくなりますが

    希望通りのポーズを取ってもらって

     

    それを表現するときに

    必ず役に立つと思います

     

    こんなポーズはなかなかとってもらえませんので

    想像の世界になりますが

    素描の練習を重ねることでいろいろなポーズも

    表現できるようになるのではないでしょうか

     

     


    コメント一覧

    返信2019年7月24日 1:02 PM

    luckycome196424/

    松田氏は、画家でいらっしゃると認識しておりますが、絵画とイラストの違いはなんであると思われますか?松田氏はその線引きはどこでされるのでしょうか?その線引きが芸術性にあるのだとすれば、イラストは芸術性のない絵と捉えられるのでしょうか?いつか、松田氏の見解をブログにて取り上げられると幸いに存じます。

      返信2020年3月26日 9:48 PM

      松田絵アート24/

      絵画とイラストの違い 自分の概念を元に答えたいと思います 絵画 情報量が多く作者の伝えたいことが沢山盛り込まれています その分正確に伝わりますが想像領域は狭まります イラスト 情報量が少なく記号化しています 伝えたいことが簡略化しており主に 相手の想像に任せる部分が多くあります 線引きは日常見慣れたものからかけ離れていると イラストの領域でしょうか 明確な線引きはわかりません どちらにも芸術性というものはあり 作者が目的に応じて使い分けています 絵画 イラストを通して気持ちの内面が揺さぶられれば どちらがいいというものではなく見る側が 接した時に心に入ってきた側に芸術性を感じるのかもしれません 僕はリアルな油彩絵画を描き 簡素なイラストでアニメーションを作っています どちらにも良さが有り 特徴を生かして利用しています この概念を理解するまでには年数がかかりました いろいろなアニメや現代アート 油絵の展示会を見て得た境地だと思います 若い頃はイラストをどこか軽んじて見ていたように思います それは上記のような理解がなく表面的に見ていたがゆえだと思います そういう時期も過ぎ 絵画もイラストも大好きです

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